#FlattSecurityMagazine

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日本への危機感を訴えていた5年前からの道のりを振り返る

はじめに

はじめまして、Flatt Security 代表取締役CEOの井手です。

今回は、5年前に自分が執筆して多くの反響をいただいた下記のブログ記事を振り返りつつ、これまでの5年間で自分自身がどのような挑戦をし、どのような立ち位置にいるのか、これからどういった挑戦をしていこうと考えているのかについて記していきたいと思います。

niconegoto.hatenadiary.jp

5年前、日本への強い危機感を表明した

最初に、5年前の記事を軽く振り返っておきます。 大雑把にまとめると、上記記事では日本という国に対する危機感と、それに対して行動する意思を表明していました。

今でもこの危機感は変わらず自分の根底にあり、確実に日本の経済的な豊かさは下降の一途を辿っています。

政治ではなく起業という道を選んだことについて

振り返ってみると、大学生前半の時に、日本の危機に対して「起業」という手段を選択したことはとても正しかったなと感じています。自分は高校時点では政治の道を志していたのですが、海外におけるIT企業の躍進や学部で学んだことを踏まえて、起業へと志向性がシフトしていきました。

大学で経済学を学んでいくと日銀や政府による金融政策などを学ぶことになるので、金融政策で自分が日本経済にアプローチするならどうするだろうか、といったことを考える機会ができます。

結果的に、僕の場合は、日銀による金融政策にかなり限界を感じることとなりました。

例えば、アベノミクスは需給ギャップの改善によるインフレ率の上昇、期待インフレ率の上昇によるインフレ率の上昇などを目論んだ政策で理論的にはかなり正しそうな政策でしたが、結果的に2012年1月から2019年11月の8年間弱において、マネタリーベースが118兆円から517兆円へと4.38倍になったのに対し、マネーストックは808兆円から1,038兆円へと1.28倍にしかなっておらず、その他の様々な指標をみても目論み通りとはいえない結果になっています。

日本銀行時系列統計データ検索サイトより、筆者作成


アベノミクスは「政府や中央銀行が裁量で貨幣を発行すれば貨幣が市場で流通する」という貨幣外生説に基づいていると言えますが、実際には貨幣内生説的に考えるべきであり、ベースマネーは銀行が貨幣を生み出す原因ではなく結果であった可能性が高いのだろうと考えています。(この辺の議論が気になる方はこちらをぜひご覧ください:Money creation in the modern economy | Bank of England)

やや脱線してしまいましたが、端的にまとめると経済学を学んでいく中で「金融政策だけでは経済の立て直しは難しく、金融政策の実施などと並行して、国際的に競争力のある会社・産業が生まれることが経済の立て直しに効果的である」という考えを持つようになりました。

5年間、起業という道で挑戦をした

以前のブログ記事を公開してから5年間、事業譲渡などの困難を経ながらも、5年間起業という道で挑戦をしてきました。

起業するにあたって、「外貨を稼ぎ、日本に還元する」「世界で愛されるプロダクト・サービスを作る」といった定性的な目標が多かったので、いったん定量的な目標として「海外売上比率が6,7割あるような1兆円企業を作ること」を立てて、人生の目標としました。

1兆円企業を作れる可能性があり、自分が楽しいと思えるための社会的意義があり、自分にしかできないと言える要素があり、天才と一緒に働くことができる、といった条件から今のサイバーセキュリティ領域を選択し、今に至ります。

flatt.tech

ソフトウエア中心の時代になってから日本のものづくりは沈んでいるわけですが、日本のソフトウエア作りを裏から支えることができるという意味でも、自社の成長以上にインパクトを産むことができる素晴らしい領域であると考えています。

結果的に素晴らしいメンバーに恵まれて、顧客と向き合うことをひたすら続けたことで、多くのファン(顧客)の方とお仕事をさせていただくことができ、お陰様でミクロな喜びを多く得ることができています。

(このブログを執筆するにあたって改めて自社のコーポレートサイトを見たのですが、何もなかったところからの5年間を思い出してエモになりました。)

Flatt Securityのサービス提供実績(一部、コーポレートサイトより引用)


しかし、日本経済に対するインパクトを目指している身として、目標に対しては1%くらいの進捗なので納得いく結果は出せていません。

「外貨を稼ぎ、日本に還元する」という目標を達成するために世界で勝てるプロダクト作りを常に目指してきましたが、創業以降4,5個のプロダクトを企画しては潰すということを繰り返しており、かなり苦しんできました。

現在注力しているShisho Cloudというソフトウェアサプライチェーンセキュリティのプロダクトは、歴代最高のプロダクトであり、今度こそ世界を取るぞという気持ちでいます。

shisho.dev

ぜひ興味ある方はお声がけください!

これからの挑戦

色々書きましたが、結果的に5年前とやるべきことは変わっていません。

世界で勝てるプロダクト・サービスを作る、という一点を目指して引き続き頑張っていきたいと思います。

最近では、高校時代に共に活動してきた友人たちが徐々に政界に進出していっており、こういった仲間と官民両面からアプローチできる日が来ることも、とても楽しみにしています。

素晴らしきこの国の未来のために。